お知らせとニュース

【報告レポート】第2回「人を支えるテクノロジーの未来共創プログラム」

2016年7月10日|新着情報

2016年5月19日開催した「第2回:人を支えるテクノロジーの未来共創プログラム」は、お陰さまで多方面から多くの方々へご参加いただき、盛況にて終了しました。

今回のテーマは、「介護現場でのコミュニケーションロボットの導入の現状と未来」でした。ゲストスピカー様から貴重な具体事例が発表され、とても有意義なセミナーとなりました。当日の内容についてご報告します。

【開催概要】

■2016年5月19日(木) 18時30分~20時30
■会場:大和ハウス工業本社会議室
■主催:NPO法人ハーモニー・アイ 協力:大和ハウス工業株式会社



【発表1】 介護現場でコミュニケーションロボットを導入してみて

発表1「SOTAの実証実験についての報告」
社会福祉法人 東京聖新会 理事
尾林和子氏

obayashi1.jpg

今、介護の現場ではロボットについての期待値が高いと感じています。実際に、パワー系のロボットについては導入の可能性がありますが、では、コミュニケーション系のロボットはどうなのか。今回、2カ月間かけて実証実験を行いました。
介護の現場においては、夜間のナースコールが介護者の負担を増大させます。そこで、ナースコールの一時対応にロボットが活用できれば、介護者の負担軽減に役立てることができるかもしれません。また、夜間勤務者は高齢者のバイタル情報の記録などに、多くの時間を費やしています。こういった業務にロボットセンサーを導入して自動的に記録できるようにすれば、深夜労働の負担が減ることになるでしょう。

sota1.jpg

実証実験では朝の起床時に、高齢者が起き上がったことを感知したロボットが「おはようございます」と声掛けを行うようにしました。ロボットは昼間もときどき高齢者に声を掛け、夜間においては高齢者が起き上がったことを感知すると、「どうしましたか」と具合を聞くようにしました。

これらによって、高齢者は見守りをされていると感じるようになってきました。さらに、高齢者とロボットの会話の頻度や量が徐々に増えていき、高齢者からの能動的な声掛けも増えました。
一方、介護者にとっても、夜間の起床回数、呼吸状態、起床理由などが自動的に記録されるため、深夜労働の質が改善されました

このように、今回の実証実験によって、介護現場でのコミュニケーションロボットの導入が有益であることがわかりました。


【発表2】パロの導入についての報告」

株式会社大和ハウスライフサポート
吉野 潮氏

yoshino1.jpg

大和ハウスライフサポートが運営している老人ホームで、パロを導入してみました。
最初はどうやっていいのかすらわからなかったのですが、高齢者の皆さんが徐々にパロに慣れてくると、以下のような効果が見られるようになりました。

パロ.jpg

・パロを置いたリハビリ室に、高齢者が頻繁に会いに来るようになった
・失語症になって表情がこわばってしまった高齢者が、パロと触れ合うことで表情が豊かになってきた
・認知症が強く、徘徊することが多かった高齢者がパロにはまり、徘徊の頻度が少なくなってきた
・パロをペットのようにかわいがるようになり、櫛で毛づくろいをすることが日課になった高齢者がいた
・パロを通して高齢者同士の会話が弾むようになった

このような事例を見て、なんとなく効果がありそうだなと思うようになってきました。実際に、何について効果があるのかまではわからないのですが、自分の役割を見つけたり、他人から認められたいという承認欲求が満たされたのではないかと思っています。

コミュニケーションロボットには会話ができるものと、会話はできないけれど手で触れたりぬくもりを与えることで相手を癒すものがあります。パロは触れたり抱いてあげたりすることで、自分が面倒を見てあげたいと思わせる効果を高齢者に与えることができます。


【ディスカッション】
介護現場にコミュニケーションロボットを導入するには? 現状の課題と未来

【モデレーター】
 大和ハウス工業株式会社 山本泰弘氏

【パネラー】
ジェイ・アイ・プロジェクト、氣の介護普及推進機構 伊藤順一氏
株式会社とげぬき、介護ロボット経営実践会 関口史郎氏

discusssion1.jpg

山本:7年前と今の介護ロボットの状況は、どのように違うと感じますか?

関口:当時は、そもそも介護ロボットという言葉自体に抵抗がありましたが、今では、認知度も上がってきました。一方で、介護ロボットの普及についてはまだまだ課題があります。実証実験ではいろいろとうまくいくのに、介護の現場には定着しません。その理由は、介護現場への導入にあたっては、実証実験を行う時のようにきちんとした計画を立てないからです。大抵は、なんとなくよさそうだからという理由で入れてしまう。導入時に目標をきちんとして設定し、その後もマネジメントをやっていかないと、結局、使わなくなってきます。

伊藤:状況としては、今でもまだ現場で普及しているわけではありません。介護事業者の現場で実験を行っても、最初は物珍しさから喜んでくれるのですが、その後は使わなくなりました。介護者の声として、ロボットは冷たいものなので、介護にはなじまないという意見がありました。

山本:SOTAとパロという2つのロボットについての感想はいかがですか? 

関口:SOTAと比べて言葉でコミュニケーションができないパロのいいところは、触感などの感覚に訴えるところです。課題は、パロが持っている機能や性能を、うまく引き出せる人が現場にいるかどうかだと思います。一方で、SOTAのように会話ができるロボットには、いろいろなメーカーが参入してきました。今後は、ソフトウェアの作り込みが重要になってきます。まずは、介護施設よりも一般向けに浸透していくのではないかと思います。

伊藤:SOTAのように会話するロボットの難しさは、高齢者がロボットの声をきちんと聞き取れるか、逆にロボットが高齢者の声をきちんと聞き取れるかです。一方で、パロを触った人のストレスが軽減されたり心理的な効果が得られたことから、コミュニケーションは言語によるものだけでなく、非言語によるものもあり、特に認知症患者に関しては、その方がインパクトがあると思います。

山本:今後、コミュニケーションロボットに必要なことはなんでしょうか?

関口:言葉でコミュニケーションするロボットに関しては、アプリの開発が重要です。まずは興味を持ってもらうように、遊びの要素が入った仕掛けや、利用者がすぐに理解して使ってもらえるような、わかりやすい工夫が必要だと思います。

伊藤:高齢者は、意外とロボットが好きです。自分が生きている間にこういったものが出てきたんだ、というような反応をします。したがって、高齢者にどう使ってもらおうかと考えるよりも、どうやって一緒に楽しむかということを考えた方がいいと思います。



セミナー終了後には、講演者様を含め参加者の皆さまとビールを片手に、有意義な交流会をしました。
party.jpg

お知らせとニュース 一覧

ページの先頭へ

  • 賛助・入会について
  • コラム
  • だれもが使えるウェブコンクール

ご協力いただいている団体

  • アルファサード株式会社
  • 生協パルシステム東京

© NPO法人 ハーモニー・アイ. All rights reserved.