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【報告レポート】第1回「人を支えるテクノロジーの未来共創プログラム」

2016年5月23日|新着情報

2016年4月20日開催した「第1
回:人を支えるテクノロジーの未来共創プログラム」は、お陰さまで多方面から多くの方々へご参加いただき、盛況にて終了しました。

今回のテーマは、どんな人でも最後まで大切にしたい尊厳といっても過言ではない「排泄」と言うテーマで開催しました。参加いただいた皆様とゲストスピカー様と、とても有意義なディスカッションができ盛り上がりました。当日の内容についてご報告します。

【開催概要】

■2016年4月20日(水) 18時30分~20時
■会場:大和ハウス工業本社会議室
■主催:NPO法人ハーモニー・アイ 協力:大和ハウス工業株式会社



【講演1「排泄について思うこと~排泄予知が可能な未来へ~】

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
中西敦士氏

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排泄のメカニズムは、36億年前のバクテリアの時代から変わっていません。私は、青年海外協力隊でフィリピンにいた頃、日本のように整備されていない現地のトイレでいろいろと苦労し、アメリカ留学中には急な食あたりで大便をもらしたという経験があります。

そんなことから「もううんこで失敗はしたくない」と思い、シリコンバレーでの学生時代は、ほとんどの学生がITやイノベーションなどを研究テーマとする中、私は排便を研究テーマとし、排便予測ができれば誰でも事前にいろいろな対処ができると考えました。そして誕生したのが、超音波で便の様子が見られる「DFree」です。本体に入っている超音波センサーが体内の膀胱の変化や大腸の動きを見て、あとどのくらいで排便が始まるかを予測し、スマホやアブレットなどに知らます。価格は2~3万円で提供できるところまで来ています。クラウドファンディングにかけてみると結構ニーズがあり1200万円の資金が調達できたのですが、投資者の半分は介護にかかわる人でした。

介護施設では、だれがいつどのくらいの便が出るのかわからず、2~3時間に1回おむつのチェックをしている状況です。これによって現場では、便が出ていなければトイレに誘導し、出ていればおむつを交換するという非効率なことが行われています。そういった現場でDFreeを使えば、適切な誘導や交換が可能になります。

おむつは最終手段であり、それを付けることで人は生きる望みを失ってしまいます。なので、DFreeによって、できるだけトイレで排泄してもらいたいと思っていますし、介護する側もトイレの一元管理ができるようになります。

今後は2020年にかけて、排泄リズムに関するトータルソリューションを提供していきます。さらに、2050年までに人間の生態そのものが予測できるような研究を進めていきます


【講演2「人間の最大の尊厳を守る!自立を支える未来のトイレ」】

TOTO株式会社 UD総合研究所
研究部福祉技術研究グループ企画主査
賀来尚孝氏

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在宅介護で一番苦労しているのは、排泄です。入浴や食事は介護者がコントロールできるのですが、排泄はコントロールできません。80代の女性に許可を得て3日間排泄データを取得した結果、夜間たびたびトイレに起きていて、その都度家族がトイレに連れていくのに苦労をしていました。しかしながら、被介護者のほとんどは部屋の中に匂いがこもってしまうポータブルトイレは使いたくないと思っており、家族も汚物の処理が大変でトイレに移動する際に転倒骨折するという事故も多々発生しています。

そういったことを解決するために、ベッドサイドにおける水洗トイレを開発しました。これによって、ベッドから数歩動くだけで用を足すことができ、部屋に匂いが残らず介護者の汚物処理の手間もなくなります。

汚物は背面にあるディズポーザで紙と一緒に粉々に砕かれて液状になり、ポンプで圧送排水します。一番の課題は、おむつや尿パッドが間違って流されることでしたが、異物が入るとトイレが声で知らせてくれて、簡単に取り出せるようになっています。工事は1日で終わり、設置後に位置を変える場合でも大人二人で動かすことが可能です。

実際に使った感想として、要介護4の97歳女性の方からは「訪問介護で1日2回しか介護者が来ないために、トイレの匂いがする部屋で食事をするのが嫌だった」、要介護2の94歳女性の方からは「ポータブルトイレは家族の介護負担が大きいので使いたくなかった。トイレの移動中に漏らすことがあり、排泄を少なくするために食事や水分を採らなくなった」、要介護1の92歳女性の方からは「室外のヒートショックが心配だった」といったことがすべて解決でき、重度から軽度まで幅広い被介護者の方に使ってもらえることが証明されました。

昨年4月には、介護保険の特定福祉用具購入の対象となり、10万円までの補助金が出るようになりました。


【ディスカッション】

講演後、参加者が5つのグループに分かれてディスカッションを行い、それぞれのグループの代表者が意見や質問を集約して発表。

●グループ1からの質問
「排便予測という分野がここまで進んでいるのかとびっくりしました。ベッドサイド水洗トイレと組み合わせると、介護者も被介護者もいろいろと楽になると感じました」

●グループ2からの質問
「これまで、介護負担軽減のものづくりはいろいろとありましたが、今回の発表は介護される本人のために開発が進められていることがすばらしいと感じました。ベッドサイド水洗トイレは、リビングなど広い空間で排泄をすることに慣れるという課題もあると思います」

●グループ3からの質問
「質問が2つあります。ベッドサイド水洗トイレは戸建て対応となっていますが、マンションや病室などにも対応できるのでしょうか? トイレが故障した際には、自動的にメンテナンスセンターに通知が送られるのでしょうか?」

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●グループ4からの質問
「質問が3つあります。ベッドサイド水洗トイレは老人ホームに入れることも可能でしょうか? DFreeはすでに実績はあるのでしょうか? 人工肛門のように排便自体を行わないような、さらなるブレークスルーはあるのでしょうか?」

●グループ5からの質問
「中西さんがおっしゃった、2050年に人間の生態そのものを予測するとは、どのようなイメージなのでしょうか? 排泄には意思が働くので予測が難しいと思うのですが、本当に実現可能なのでしょうか?」

●賀来氏からの回答
「ベッドサイド水洗トイレのマンションへの設置は、共用部には手を付けられないところが多いので難しいです。また、戸建て以外の既存の施設への設置も難しいです。広い部屋に設置する場合は、違和感がないデザインにするなどいろいろと工夫が必要だと思っています。現状、故障時には声で知らせてくれるようになっていますが、聴覚障害がある人に対しては課題があります」

●中西氏からの回答
「これまでの実績についてですが、現場の声を聞くと肌のかぶれなどスキントラブルについてはまだ課題があると思います。生態予測については、今後も超音波を使った計測データをたくさん集めていき、それを集約して実現したいと思っています」

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